ウレタン防水とアスファルト防水・シート防水の違いを比較
屋上の防水工事でよく名前が挙がる3つの工法「ウレタン防水」「アスファルト防水」「シート防水」を、防水層のつくり方という同じ軸で並べて整理します。どの工法が優れているかを判定する記事ではありません。
ウレタン防水・アスファルト防水・シート防水は、いずれもマンションの屋上でよく使われる防水工法ですが、防水層のつくり方がそれぞれ違います。この記事では3つを同じ軸で並べて整理します。どれが優れているかを判定するものではありません。
3つの工法を同じ軸で並べる
防水層をどうやってつくるか、という観点で3つを並べると次のようになります。いずれも一般的な工法の説明であり、個別の製品・仕様による違いまでは扱っていません。
| 工法 | 防水層のつくり方(一般的な説明) | よく挙げられる特徴 |
|---|---|---|
| ウレタン防水 | 液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて硬化させる | 継ぎ目のない防水層になりやすく、複雑な形状にも対応しやすいと説明されることが多い |
| アスファルト防水 | アスファルトを含んだルーフィングシートを溶融させながら重ねる | 古くからある工法で、公共建築の参考歩掛りにも複数の仕様が収録されている(下記グラフ) |
| シート防水(塩ビシート等) | 工場で製造されたシートを下地に貼り付ける | 均一な厚みの防水層になりやすいと説明されることが多い |
どの工法にも一長一短があるとされ、下地の状態・既存防水層の有無・建物の形状によって向き不向きが変わります。この記事では特徴の整理までに留め、個別の建物への当てはめは行いません。
アスファルト系防水の中でも工法によって手間が違う
工法の違いを数値で見る手がかりとして、国が公共建築の積算に使う参考歩掛り(第9節 防水)を確認しました。この資料には、アスファルト系防水の屋根防水5工法について、施工に必要な防水工の人数(人/㎡)が収録されています。
出典公共建築工事積算研究会「参考歩掛り」第2編 建築工事 第9節 防水(RA-27〜RA-31)(国土交通省の公表データを加工して作成・各表の平面部・第一仕様の防水工人工数。ウレタン塗膜防水は本節に収録なし)
同じ「アスファルト系防水」という括りの中でも、密着工法か絶縁工法か、断熱の有無によって、必要な人工数に差があります。工法が違えば施工の手間も変わるという一例として見てください。
公共建築工事積算研究会「参考歩掛り」第2編 第9節 防水に収録されているのは、アスファルト系防水(表RA-9-1〜6)とシーリング(表RA-9-7〜9)のみです。ウレタン塗膜防水・塩ビシート防水・FRP防水の歩掛りはこの資料に存在しないため、ウレタン防水を含めた人工数の比較はできません。
見積もりを比較するときの考え方
工法名だけでなく、次の点を見積書で確認すると比較がしやすくなります。
- 密着工法か通気緩衝工法(絶縁工法)か、仕様が明記されているか
- 既存の防水層を撤去するのか、上から重ねる改修工法なのか
- トップコートを含む仕上げまで見積もりに含まれているか
同じ「ウレタン防水工事」という項目名でも、仕様によって工事の中身は変わります。複数社の見積もりを比べるときは、見積書の読み方で扱っている確認項目とあわせて、仕様の違いを先に揃えることが比較の前提になります。
労務費の水準そのものは工法によらない共通の数値です。積算カリキュレータでは、アスファルト系防水とシーリングについて、公共積算方式の理論値を試算できます。
よくある質問
3つの工法の中でどれが一番おすすめですか。
この記事では優劣を判定していません。下地の状態・建物の使われ方によって適した工法は変わるため、個別の判断は専門家に確認する事項になります。
ウレタン防水の施工人工数(手間)はアスファルト防水と比べて多いですか、少ないですか。
公共の参考歩掛り資料にウレタン塗膜防水の歩掛りが収録されていないため、当メディアのデータでは比較できません。上記のグラフはアスファルト系防水の中での工法間の違いを示したものです。
シート防水とウレタン防水は同じ現場で選べますか。
下地の状態や施工条件によって向き不向きがあるとされています。個別の現場での選定は、専門家による確認が必要な事項です。
LIMITS この記事で扱えない範囲
- この記事は工法を同じ軸で並べて整理するもので、個別の建物にどの工法が適しているかを判断する診断ではありません
- 公共の参考歩掛り資料(第9節 防水)にウレタン塗膜防水の歩掛りは収録されていないため、施工人工数のグラフはアスファルト系防水の5工法のみで構成しています。ウレタン塗膜防水を含めた人工数の比較はできません
- 価格帯・耐用年数の工法間比較は、当メディアの一次データ資産に工法別の数値が揃っていないため扱っていません
書けることだけを並べても判断は早くなりません。この記事が扱えない範囲を先に示しています。
参照した資料
資料公共建築工事積算研究会「参考歩掛り」第2編 建築工事 第9節 防水(RA-27〜RA-31)(国土交通省の公表データを加工して作成)
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