築40年・3回目の大規模修繕の費用と修繕履歴の整理ワークシート
3回目以上の修繕では、過去の工事記録がどこにあるか分からなくなっていることがよくあります。この記事では目安データとあわせて、履歴を1枚に整理するための表を掲載します。
3回目以上の大規模修繕を控えた築古マンションでは、1回目・2回目の工事記録が引き継がれておらず、「いつ・何を・いくらで直したか」を理事会が把握できていないことがよくあります。この記事は築年数・費用の目安データと、記録を1枚に整理するための表をセットで示します。
3回目以上の大規模修繕、築年数の目安
国交省の実態調査(3回目以上、n=242)では、築年数は次のような分布でした。
| 区分 | 下位25% | 中央値 | 上位25% | 平均値 |
|---|---|---|---|---|
| 築年数(n=242) | 31.5年 | 40.0年 | 46.0年 | 37.3年 |
中央値は築40.0年です。この記事のタイトルにある「築40年・3回目」は、この中央値に沿った目安として置いています。ただし下位25%は31.5年、上位25%は46.0年と幅があり、修繕周期の考え方は管理組合ごとの長期修繕計画によって異なります。
工事金額の目安(回数別・戸あたり・床面積あたり)は、費用相場・平均額と推移データの記事で確認できます。3回目以上の中央値は戸あたり97.0万円、床面積あたり1.2万円/㎡です。
3回目以上で目立つのは「建具・金物」
建築系工事の内訳を回数別に見ると、3回目以上では建具・金物等の割合が大きく伸びています。
出典国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(報告書12ページ・3回目以上グループ)
1回目ではわずか1.9%だった建具・金物等が、3回目以上では15.3%まで伸びています。サッシ・玄関ドア・手すりなど、築年数が進むほど交換の必要性が高まる部材がまとまって工事範囲に入ってくるためと考えられます。過去の履歴を整理する際は、防水・塗装だけでなく、建具・金物の交換記録も別項目として残しておく価値があります。
この記事のデータには、機械式駐車場や超高層マンション特有の設備更新費用は個別に含まれていません。該当する設備がある場合、一般の建築工事とは別枠で専門業者に見積もりを依頼する必要があります。この記事の金額目安をそのまま特殊設備の費用に当てはめないでください。
修繕履歴整理ワークシート(印刷用)
過去の工事記録を1枚にまとめるための表です。工事年・工事回・内容・金額・施工者・保証期限の6項目を、分かる範囲で埋めてください。分からない項目は空欄のままで構いません。空欄が多い場合、それ自体が「管理会社や過去の総会議事録に確認すべき項目」の一覧になります。
| 工事年 | 工事回 | 内容 | 金額 | 施工者 | 保証期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | |||||
| 2回目 | |||||
| 単発工事 | |||||
| 単発工事 | |||||
| 単発工事 | |||||
| 3回目 |
「工事回」欄は、屋上防水や外壁塗装単独の工事(大規模修繕の合間に行う単発の防水工事等)も含めて記入できるようにしています。大規模修繕の周期の間に個別工事を行っているマンションは多く、それらの記録が抜け落ちやすいためです。「保証期限」は、まだ保証期間内の工事がないかを確認する目的の欄です。期限が近い・過ぎている工事があれば、次の修繕計画に反映する材料になります。
現時点ではこの表を印刷してお使いいただく形のみです。ダウンロード可能なファイル版(PDF・Excel)は今後追加を予定しています。
記入欄が埋まらないときの対処
過去の記録を探しても金額や施工者が分からない工事が出てくることは珍しくありません。空欄を無理に推測で埋めず、次の順番で確認先を当たると見つかることがあります。
| 確認先 | 見つかりやすいもの |
|---|---|
| 管理会社 | 過去の工事発注記録・請求書の控え |
| 過去の総会議事録 | 工事の議決内容・おおよその金額(総会資料に記載がある場合) |
| 長期修繕計画の改定履歴 | 実施済み工事の反映状況・次回修繕の想定時期 |
| 施工会社への保証書控えの照会 | 保証期限・保証の対象範囲 |
ワークシートが一通り埋まったら、この記事の「3回目以上」の目安データ(築年数・戸あたり金額・床面積あたり金額)と照らし合わせ、次回修繕の予算感を検討する材料にしてください。過去の履歴と目安データの両方がそろうことで、総会での説明資料も作りやすくなります。
よくある質問
3回目の修繕は本当に築40年が目安になりますか。
国交省の実態調査(n=242、3回目以上の集計)では、築年数の中央値は40.0年、下位25%が31.5年、上位25%が46.0年でした。目安の1つにはなりますが、修繕周期は建物ごとの計画によって異なるため、自分のマンションの長期修繕計画を優先して確認してください。
機械式駐車場がある場合、費用はどう変わりますか。
この記事で使っている公開データには、機械式駐車場を個別に区分した費用内訳は含まれていません。機械式駐車場の設備更新は一般の建築工事とは別枠で見積もりが必要になることが多いため、該当する場合は専門業者への個別確認をおすすめします。
ワークシートはダウンロードできますか。
現時点ではこの記事内の表を印刷してお使いいただく形のみです。ダウンロード可能なファイル版は今後追加する予定です。
LIMITS この記事で扱えない範囲
- 「3回目以上」の築年数データ(中央値40.0年)は、n=242の集計における統計的な目安であり、個々のマンションの適正な修繕時期を示すものではありません。
- 機械式駐車場・超高層等の特殊構造については、この記事のデータには個別の内訳が含まれていません。特殊要因を含む工事は、一般的な相場データとは別に専門家への確認が必要です。
- このワークシートは記事内の記入欄(印刷用)です。ダウンロード可能なファイル形式(PDF・Excel等)は今後の追加を予定しており、現時点では未対応です。
書けることだけを並べても判断は早くなりません。この記事が扱えない範囲を先に示しています。
参照した資料
資料国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(報告書9ページ(築年数)・12ページ(工事区分内訳))